インディペンデント通信

就労の意義「大野裕美のプロジェクト通信」

名古屋市立大学病院医学研究科 大野裕美

前号でお伝えし忘れましたが、この3月に、第4期がん対策推進基本計画が明示されました。「誰一 がん患者さんの自立と自律を「働く」ことを通じて応援します。
人、取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指す」ことが全体目標として掲げられ、分野別目標には「がん予防」「がん医療」「がんとの共生」の3項目が挙げられています。就労支援は、分野別目標の「がんとの共生」に区分されており、今後もさらなる拡充が望まれるところです。さて、先の第3期計画で示された、「がん患者の仕事と治療の両立支援モデル事業」では、患者の様々なニーズに応えることを目的に、両立支援コーディネーター研修を修了した看護師または社会福祉士が配置されるようになりました。がんと診断されて退職や廃業をした方々や、再就職や復職の希望があるのに無職者の方等、がん患者が抱える就労の問題が明るみになった背景を受けて、国は具体モデルを示したのです。両立支援は、労働者である患者だけでなく、事業者、医療機関、社会にとっても、それぞれの意義があることを国は述べています。特に、生産年齢人口が減少している現在、労働者が減少することは大きな損失であり、何より働くことは金銭の対価に留まらず、そのひとのアイデンティティや自己実現にかかわる重要なことです。私たちも、「誰一人取り残さない」ためには何が必要で何ができるか考え、実行していくことが大切ではないでしょうか。
最後に、私のコラムは今号で終了します。今まで、お読みくださった皆様、有難うございました。がんになっても自分らしく生きていくためのお手伝いを、これからも専門の見地から続けてまいります。また、皆様と、どこかでお目にかかれることを楽しみにしています。

 

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